電子線照射お役立ち情報

電子線照射試験で押さえるべき3つのポイント

投稿日:2021年12月10日最終更新日:2021年12月22日

弊社では、電子線照射装置の製造・販売の他に、電子線照射サービスを行っています。本サービスでは、実験照射~受託加工まで対応しており、新製品の研究開発や装置導入前の量産検討などでご活用いただいています。
さて、電子線に初めて触れる方が、いざ試験してみようと思ったとき、何から考えたら良いか分からないと戸惑われると思います。そこで今回は、電子線照射試験を行う際にまず考えるべき3つのポイントを紹介します。

①加工目的

最初に明確にすべきことは、電子線照射を実施する目的です。電子線照射の効果としては、「架橋」「グラフト重合」「硬化(キュアリング)」「殺菌・滅菌」の4つがあります。これら4つの効果ごとに、照射する雰囲気や照射する線量などの照射条件が大まかに決まってきますので、試験条件を考えるポイントとなります。
図1に各利用分野で比較的良く適用される加速電圧と線量の領域を示します。
さらに架橋で言えば、サンプル表面だけを架橋させたいのか、それとも厚み方向全体に照射したいのかで、照射条件が変わります。またグラフト重合では、具体的にどんな機能(例えば親水性や撥水性、吸湿発熱性など)を付与させたいのかで、用いる機能性モノマーが異なります。

図1 各利用分野における加速電圧と吸収線量の適用領域

②材料

照射するサンプルの材料も重要になります。材料によって電子線が与える影響度合いが異なります。
例えば架橋においては、高分子鎖が架橋しやすい(架橋型)か、切断しやすい(崩壊型)かは、高分子の構造によるところがあります。
代表的な架橋型・崩壊型高分子を表1に示します。

表1 代表的な架橋型・崩壊型高分子

 

ただし電子線照射の影響を受けにくい構造でも、熱を加えることで電子線照射が与える影響度合いが変化する高分子もあります。その代表例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)です。PTFEは、常温では崩壊型高分子ですが、340℃の融点近傍に加熱して照射すると架橋することが知られています。
また材料の比重によって電子の透過の深さが異なるので、電子線の加速電圧を選定するために重要な要素となります。加速電圧については別記事(加速電圧と厚み方向への電子線の影響について)を参照ください。

③サイズ・形状

弊社で試験を実施いただく場合、装置によって一度に処理できるサイズが異なります。
図2は弊社保有装置の仕様一覧です。枚葉処理可能な装置もあれば、長尺のフィルム搬送に対応する装置もございます。
例えば加速電圧300kV以下で枚葉処理の場合、EBC-300が適しています。サンプルの最大サイズは60cm×60cm角となり、A4サイズ5枚分が同条件で一気に照射可能です。
また、ロール処理の場合、ポリエチレン(比重0.9)、フィルム厚さ50µmであれば、EBC-200が適しています。厚みが大きい場合は、加速電圧が大きいEPS-750を選択します。
詳細な照射条件や使用する照射装置につきましては、上述した加工目的や被照射材料などから提案させていただきます。

図2 NHVコーポレーション EBセンター保有装置の仕様

 

さいごに

本記事では、電子線照射試験にて押さえるべきポイントとして、①加工目的、②材料、③サイズ・形状の3つを紹介致しました。初めて電子線照射試験を検討する際は、これらの情報を可能な範囲でかまいませんので弊社スタッフにご連絡ください。特殊なサンプルや照射条件等についても、弊社の40年以上の実績とノウハウを活かして適切な装置、照射条件をご提案させていただきます。
電子線照射における重要なパラメータである加速電圧線量についても別記事へ掲載しております。照射条件を検討する上での参考としてみて下さい。

(藤田記)

 


[本件に関するお問い合わせ]
株式会社NHVコーポレーション EB加工部
TEL:075-864-8815
こちらのフォームよりお問い合わせください。

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